東洋春蘭・寒蘭・万年青の違いと育て方|失敗しない古典園芸 栽培ガイド
古典園芸 栽培ガイド

東洋春蘭・寒蘭・万年青の違いと育て方
失敗しない三種比較ガイド

水分管理と用土設計、それぞれの個性を知る

© 蘭万園

東洋春蘭、寒蘭、そして万年青(おもと)。これらはいずれも半日陰で楽しめる古典園芸植物として根強い人気があります。しかし、見た目や好みの環境が似ているからといって、すべて同じ管理で育てていませんか?実はそれが、調子を崩す最大の原因かもしれません。

結論から言うと、この三種は水分管理と用土設計の考え方が根本的に異なります。本記事では、初心者から中級者までが今日から実践できるよう、三種の違いと最適な育て方を整理して解説します。

01三種の性質を知る:似て非なる性格の違い

まずは、それぞれのキャラクターを理解しましょう。同じ場所に並べていても、植物が求めているものはこれだけ違います。

⚠ 近年の猛暑に注意:耐暑性の差が命取りになります。寒蘭は夏をいかに涼しく過ごさせるかが勝負です。

02日照と置き場:光のさじ加減が重要

三種とも直射日光は厳禁ですが、求める光の強さには違いがあります。

東洋春蘭
やや明るい半日陰。花芽を作るために、春と秋は柔らかい光をしっかり当てましょう(遮光率50〜70%)。
寒蘭
一段暗めの半日陰。春蘭より光に弱く、特に夏場は少しでも直射が当たるとすぐに葉焼けします。
万年青
落ち着いた半日陰。三種の中で最も耐陰性が高いですが、光が強すぎると自慢の葉芸が乱れてしまいます。年間を通して安定した日陰が理想です。

03用土と水やり:ここが最大の分岐点

蘭は乾かし気味に、とよく言われますが、万年青を同じ感覚で育てると水不足に陥ります。

項目 東洋春蘭 寒蘭 万年青
分類 ラン科 ラン科 キジカクシ科
主な鑑賞 花+葉 花主体 葉芸主体
耐暑性 やや弱い 弱い(要注意) 中程度
過湿耐性 弱い 非常に弱い 中程度
用土の傾向 排水性重視 極めて高い通気性 適度な保水性

用土設計のポイント

東洋春蘭・寒蘭:水が溜まらないことが最優先です。硬質鹿沼土や日向土を主体にし、寒蘭はさらに粗い粒で鉢内の空気を入れ替える設計にします。

万年青:適度なしっとり感が必要です。赤玉土をベースに、根が落ち着く保水力を持たせます。

水やりのリズム

春蘭・寒蘭:乾湿のメリハリが命です。表土が乾いてから数日待つくらいの勇気が、根腐れを防ぎます。特に寒蘭が咲かない理由の多くは水のやりすぎにあります。

万年青:極端な乾燥を嫌います。春から秋は、鉢が乾き切る前にたっぷり与えるのが基本です。

04夏越し:近年の猛暑をどう生き残るか

現代の栽培において、夏は維持する季節ではなく守る季節です。

寒蘭

夜の涼しさを作ることが重要です。夕方以降の打ち水や、通風の確保で夜間の鉢内温度を下げましょう。

東洋春蘭

半休眠を意識します。暑い時期は成長が止まります。水を控え、風通しの良い日陰でじっと耐えさせましょう。

万年青

蒸れに注意します。暑さには比較的強いですが、肥料分(有機質)が多い状態で蒸れると根がダメージを受けます。

まとめみんな一緒を卒業しよう

東洋春蘭、寒蘭、万年青は、同じ棚に並んでいても見ている世界が違います。

  • 寒蘭はもっと空気を(高通気)
  • 東洋春蘭は乾湿のメリハリを
  • 万年青は安定した潤いを

この三者三様のニーズに応えることが、失敗を防ぐ最短ルートです。それぞれの個性を尊重した管理で、古典園芸の奥深い魅力をぜひ長く楽しんでください。

 
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